今回紹介するのは『車輪の国、悠久の少年少女』というゲームです。
この作品は言わずと知れた名作、『車輪の国、向日葵の少女』のファンディスクです。
このファンディスクは続編として作られたものではなく、前作の裏設定を明かしたりする番外編として発売されました。
もちろん、ただのファンディスクでは終わらせない、期待を裏切らないストーリーの濃さでした。
ストーリー
罪を犯すと特別な義務を負わされる社会。
義務を負う罪人を更正指導する『特別高等人』を目指す主人公・阿久津将臣は、その最終試験のため、とある田舎町を訪れる。
『私生活がない』という義務を負う少女、雑賀みぃな。
最終試験の課題として、その雑賀みぃなを更生するよう指示される。
真夏。森田賢一が生まれるより昔の物語。
不屈の野心を胸に抱いた青年は、車輪の国に呑まれていく―。
悠久の少年少女の、4つの内容
法月編 | 森田賢一の試験官であった法月将臣が、特別高等人になるまでの物語を描いたストーリー | |
ヒロイン編 | 『向日葵の少女』のヒロイン4人のその後を描いたストーリー | |
骨休め | 前作で集合時間に遅れたために最初に殺されてしまった特別高等人候補生[南雲えり]のストーリー | |
森田の夏休み | 森田賢一と南雲えりが裏話などを繰り広げる番外編 |
この3つの魅力が人気の理由
あの『法月将臣』の過去が語られる
「そうか……登りきったか…………登りきっても、暗い未来が待ち構えていると知っていてなお、真っ直ぐに進んできたか……」
『向日葵の少女』の最後のシーンを覚えているでしょうか?
崖を登りきった賢一への言葉です。なぜ、この言葉を賢一に送ったのか?なぜ、この場面で賢一を見逃し、見送ったのか?
この時の言葉の意味、心理が今作では明かされます。
重いです。かなり重いです。胸が痛むほどの思いが、この言葉に託されています。
法月が特別高等人になっていることはご存知だと思いますが、なぜ特別高等人になったかはまだ知らない人が多数でしょう。
目を見張るほどの、壮絶なストーリーです。ぜひ知ってください(必死)。
あの法月将臣に代わる『悪役』
「どんなに強がった人間でも、あきらめるということを学ぶ」
ふっと、笑う。
「私もそうだった……」
「えっ、幼女じゃん」
と思いましたか?違います。笑
法月将臣をも上回る超~~優秀な特別高等人、その名も『法月アリィ先生』です。
悲しいかな、登場する特別高等人の候補生たちも、あなたのようにアリィ先生を馬鹿に見てしまい、痛い目にあいました…。
おっと、そろそろお気づきでしょうか?
最終試験で『法月アリィ』に立ち向かう法月将臣。最終試験で『法月将臣』に立ち向かう森田賢一。
そうです。このように『向日葵の少女』とストーリーが対比されており、前作を思い出させる、アツい展開があなたを待ち受けています。
思いもよらない驚き、叙述トリックは健在!
もちろん、叙述トリック、予測できないストーリーも健在です。
「ファンディスクなんだし、前作よりは少しインパクト薄いんでしょ?」
と、思われがちですが、そんなことを思っている人には100連ビンタです。
開始そうそうの『あの』衝撃的なシーンはもちろん、ラストの悪役に立ち向かうために用意された叙述トリックは、前作からの衰えを見せないぐらい素晴らしかったです。
また、法月将臣だけではなく、森田賢一の親である樋口三郎の過去も明かされていきます。
候補生時代の樋口三郎と、法月将臣のコンビ。この二人が悪役のアリィに立ち向かっていく姿はまさに激アツです。
車輪の国、悠久の少年少女 まとめ
ラストシーンである、この『法月将臣と森田賢一の会話』。
このシーン、正直なところ向日葵の少女を超えていました。車輪の国シリーズ全体を通して、あれが本当の完結と言ってもいいかと思います。
このファンディスクのおかげで、名作を『ただの名作』として終わらさないでくれたわけです。
また、法月編の他にも『ヒロイン編』や『南雲えり』の裏ストーリーなど、誰もが気になっていた部分も描写されています。
前作をプレイした人は絶対に後悔しないと思うほどの、素晴らしいファンディスクでした。